自己責任


教える側に立つと、わかることはたくさんある。まず、自分のせいではないかと考えることだ。


実はこの前、後輩が怪我をした。肉離れだ。結構重度らしい。1ヶ月は復帰できないそうだ。

高3だった。高1のとき、そいつはそこそこうまかった。守備は微妙だが、なかなか打撃はいいものをもっていた。長打力があった。そして謙虚で、練習熱心だった。

言った練習は、ひたすらやる。俺が高3のとき、高1のそいつに「これやっておけよ」といっておいた練習を、高3の今も続けていた。僕は適当なことはいえないなと思った。


そいつは大会にぜんぜんででこなかった。俺がみにいっても、大会ではいつもでない。なぜだろう。監督にきいてみた。


「肩を怪我した。」


そういわれた。肩を怪我することはよくあること。俺は練習をみにいった。



悲惨だった。そこには塁間も届かない彼がいた。



俺はそいつをみてやり、投げ方を一生懸命指導した。そして練習前にこれをやっておけといっておいた。


しばらくして、また練習を見に行った。彼はその練習を続けていた。口には出さないが、「がんばれ」と心の中で思った。



彼は肩の怪我のせいで、ひじを壊した。そして、選手生命は絶たれた。一時はバットも振れないくらいひどかった。



俺がコーチに就任した時には、彼は左手でしかバットをふっていなかった。でも一生懸命声を出して、練習をしていた。



まだ代打専門がある。



打撃なら完璧に教えられる。俺は時間があれば、彼について教えた。そして、かなり下半身がきついトレーニングになる素振りの方法を教えた。その練習は負担がかかるのはわかっていた。でも俺は彼に期待をした。俺が最初冗談で50回5セットといったら、彼はそれをやった。そして、1ヶ月もしないうちにバットは片手専用のバットから普通のバットへかえさせた。

盗塁の練習もさせた。0、5秒ぐらいはやくなった。もともと足の速い選手だったから、これはかなり代走でも使えると思った。


土曜の練習。雨で、学校で練習になった。階段とラダーがメニューにあった。そしてその後、スイングの時間に俺は彼に「いつものやつやっておけよ」といっておいた。彼はそれをやった。


日曜の練習。僕はしばらくひいていた風邪がきつくなって、日曜は休養をもらった。



5時くらい、後輩から電話がかかってきた。


「(中略)○○(その彼の名前)が怪我をしました。」


僕は聞いた瞬間、「ああ、俺のせいだ」と思った。俺がきつい練習をやらせていたからだ。


その後、話を聞くと、ベースランニングのとき足が痛くなったらしい。そのとき、「ちょっと足が痛いんだけど」と同じ学年のやつにいった。その言われた後輩は「まあ大丈夫じゃね?」といって、続けさせたらしい。その次に、肉離れをおこして倒れたということだった。


俺がその日行っていれば、そこでやめさせられたかもしれない。俺は常に「足は大丈夫か?」と心配していたのに、行かなかった日に足を怪我した。



悪いのは俺だ。俺があんなにきつい練習をさせたからだ。

今日の練習も、彼は病院で休んだ。俺は今日も少し心が痛んだ。